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汗のお話し②(甲状腺機能亢進症:バセドウ病)
はじめに
前回に続いて汗のお話しです。
前回は、汗でお困りの方の様々な原因を紹介させていただきました。
私が女医ということもあってか、当院に来院される患者様は、
『更年期障害』・『生理不順』・『PMS 』・『月経困難』・『子宮筋腫』など
女性のホルモンバランスの悪さからくる様々な症状のお悩みの相談にご来院くださる患者様が多いです。
今回は、当院に汗の悩みで来院される患者さまの中でも多い
『甲状腺機能亢進症』についてお話させていただきます。
甲状腺機能亢進症(Basedow病)とは?
甲状腺ホルモンの分泌過剰が引き起こす病気
甲状腺のホルモン分泌機能が過剰になることが原因で
引き起こされる病気ですが、甲状腺ホルモンの分泌機能が高まる原因は多々あります。
もっとも多いのは、免疫の異常によって発症するバセドウ病とされています。
甲状腺機能亢進症の症状
多汗や体重減少などの典型的な症状
症状:多汗、体重減少、動悸、倦怠感、手指振戦、下痢などが主なものです
所見:甲状腺腫大(甲状腺は喉仏の下あたりにあります)、眼球突出、頻脈、やせが主なものです
診察中に診断できることが多いですね。
痩せていて、目がギラギラしたような感じで、
「最近なんか痩せてくる、動悸する、汗がよく出る」っておっしゃることが多いです。
甲状腺機能亢進症の診断方法
血液検査による診断
検査所見
・TSH(甲状腺刺激ホルモン) が基準より低い ⤵
・FT4(甲状腺ホルモン) が基準より高い⤴
・TRAb(TSHレセプター抗体) 陽性
心電図:心房細動(心房が痙攣したように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる状態)
甲状腺機能亢進症の治療法
抗甲状腺薬による治療
治療法:基本は、抗甲状腺薬で甲状腺ホルモンの合成を抑えていくことですね。
抗甲状腺薬の副作用
皮膚症状
抗甲状腺薬チアマゾール(メルカゾール)の副作用
かゆみ、じんま疹などの皮膚症状が3割くらいの割合で出現します。
これらの皮膚症状は1週間くらいで少しずつ出現し、ピークは約2~3週間後です。
皮膚症状が出たら、薬を減量したり他の薬に替えたり抗アレルギー剤を一緒に飲んでもらいます。
注意が必要な副作用:無顆粒球症
注意が必要な副作用に⚠️無顆粒球症があります。
無顆粒球症というのは、血液中の白血球の成分である顆粒球が減少することです。
無顆粒球症になると、細菌等に感染しやすくなってしまいます。
1000人に1~2人の割合で起きる稀な副作用ですが、
定期的に血液検査をして顆粒球が減っていないかチェックをすることで、予防することができます。
症状が続く場合は医療機関へ
最近体重が減ってきたな、最近動悸がひどい、
汗が多いなどが続く場合はひとりで悩まず、医療機関を受診してください。
お薬で良くなることが大半です。
楽になりますよ。
『更年期障害』については次回お話しすることにいたしますね。
では、また次回